2012年07月06日

神経症の治療場面(症例)

・【症例】35歳 女性

Nさんは学校卒業後、就職し結婚するまでは特に問題
はなく過ごしてきた。

夫が転勤して帰宅が夜遅くなるにつれ、不規則な生活
になり、ストレスを感じるようになる。

この頃から、風呂の排水口がすごく汚いものに思えて
きて、排水口の掃除ができなくなり、風呂に入るのも
苦痛になった。

洗濯の時に排水口のイメージが浮かんでくると、洗濯物
が汚れたように感じて、最初からやり直さずにはおれな
くなる、などの強迫症状が強くなったため入院治療を
することになった。

・【治療の経過】

Nさんの強迫症状として、
@手洗いの回数が多い。
A排水口のイメージが出るたびに手洗いをする。
B洗濯を何度もやり直してしまう。

入院中、Nさんは「病棟にはいつも看護師がいるので
安心感がある」と話し、病院内での強迫症状の程度は
自宅の時よりも軽く、苦痛は少なかった。

排水口のイメージが出てきても「看護師がいるから
大丈夫」と自動的に考えて不安が下がっていた。

不安階層表」を作成して、曝露反応妨害法を試みるが
「看護師がいるから安心」との自動思考が出て、効果が
実感できなかった。そのため退院することになる。

自宅に帰ってからは、そばに看護師がいないことから
排水口の強迫観念が出てくると、以前のように強迫行為
を繰り返すようになった。

Nさんが再度入院したとしても、そこでは「看護師が
いるから安心」という自動思考が出てきて、治療が
進展しないであろう、と判断した医師は、自宅で曝露
反応妨害法を行なうことにした。

自宅にいる時、排水口のイメージが出てきて強迫行為
をしたくなった時は、医師に電話をするようNさんに
指示をした。

電話がかかるたびに、「強迫行為を行ないたい時こそが
重要な治療場面であり、絶好の治療の機会ですよ」
と、医師はNさんに繰り返し説明する。

Nさんも、「ここが治療場面だ」と自分に言い聞かせて
いるうちに、強迫観念が起こっても徐々にではあるが
強迫行為をせずに済むようになっていった。

患者に応じて、「ここが正念場」「ここが勝負どころ」
「絶好のチャンス」などの“気持ちが動く”表現を使う
ことで治療が進展するケースがあることを示唆している。

posted by メンタルハート at 19:42| 強迫性神経症の治療法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月15日

強迫神経症の治療 森田療法

森田療法は大正時代に森田 正馬(まさたけ)
によって開発された精神療法です。

森田氏は自身が神経症であった経緯から
神経症の治療として、この療法を編み出しました。

森田療法では、不安や悩みは「より良く生きたい」
という、人が本来持っている気持ちが強くある
ゆえに出てくるものだと考えています。

人間は、「こうあるべき」という理想の自分と
実際の自分との間にギャップがあるために悩みに
とらわれます。

森田療法では、悩みは悪いものではなく、
心の中から排除すべきものではないと捉えます。

排除しようとすると、かえってその悩みに
とらわれてしまい、悩みがもっと強くなります。

森田療法の治療目標として、

@自分の置かれた状況や不安、不快な感情を
「あるがまま」に認め受け入れること。

A日常生活の行動を通して「生の欲望」を発揮
 すること。

実際には、次のような治療方法が用いられます。

食事やトイレ以外は何もせず、個室でひたすら
横になります。しばらくすると、動きたい気持ち
が出てきます。

次に自分の内面を観察し、感じたこと、気づいた
ことを日記に書いていきます。

その後、軽く身体を動かしたり、徐々に日常的な
家事などを行ないます。


人間は、何かに注意を向けると、他のことには
注意が向きにくくなるという性質を持っています。

森田療法では、この性質を利用して「不安を抱えた
まま」でいいから、目標とするものに注意を向けて
活動することを提唱しています。

強迫行為をしたいという衝動に駆られても、部屋の
片付けでも何でもいいから別のことをすれば、強迫
行為には注意が向きにくくなると説きます。

森田療法の強迫神経症の治療では、不安をなくす
方向ではなく、「不安をあるがまま」に受け入れ、
本来のやるべきことを行なっていくことを目指します。

タグ:森田療法
posted by メンタルハート at 19:53| 強迫性神経症の治療法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月14日

確認強迫への曝露反応妨害法

強迫性神経症の強迫症状は人によりさまざまです。
その中でも「確認」の強迫症状は多いと言われて
います。

誰でも外出する時は戸締りをしますが、確認強迫を
持つ人の場合、一度確認しただけでは安心できず、
何度も確認したい衝動に駆られます。

外出の途中でも「もしかしたら、きちんと締まって
いないかもしれない・・」と不安になり、確認の
ために家に戻ることもあります。

曝露反応妨害を行なう時は、外出の途中で不安に
なっても、そのままにして家には戻らないように
します。

本人にとっては、これは一つの挑戦です。

「誰かが家に侵入するかもしれない」という不安
と向き合い続けることになるからです。

強迫症状の軽減には、【不安と向き合う】
というプロセスが必要になります。

強迫観念そのものは自然に思い浮かんでしまうため
防ぎようがありません。強迫観念をなくそうとする
ほど、そこに意識が向いて、かえって強迫観念を
強めてしまいます。

強迫観念が出てきた時、それをどう受けとめるのか。
「受けとめ方」は変えることができます。

それによって強迫行為をしないようにすることは
可能なのです。

そうは言っても強迫衝動はかなり強いですから
簡単に理屈どおりにはいかないものです。

また曝露反応妨害法に取り組んだからといって、
すぐに改善されるわけではありません。

「強迫観念が起こり強迫行為をする」という悪循環を
断ち切るには、それなりの時間はかかります。

何年にもわたって続いてきたことは
すぐには変わりません。

ですが、何もしなければ強迫神経症が続きます。
時間はかかっても取り組むことで、強迫衝動は
弱くなっていきます。

神経症というのは、生まれつきの傾向性ですから
完全になくすことは難しいのですが、症状の軽減は
可能なことです。

完治を期待し過ぎると「いつまでたっても治らない」
と焦りの気持ちが強くなり、治療そのものを止めて
しまいかねません。

そうなると、ずっと強迫症状に悩まされ続けます。
完治ではなくても、軽減するだけでも価値は十分に
あると思います。

タグ:確認強迫
posted by メンタルハート at 19:39| 強迫性神経症の治療法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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